研究課題
中心体複製においては母中心小体から一細胞周期に一度だけ娘中心小体が一コピー複製される。複製された娘中心小体は間期/分裂期を通して母中心小体に近接して存在し、細胞分裂の後に母・娘中心体間結合は消失する。この母・娘中心体間結合の消失は、前の細胞周期において娘であった中心小体が母中心小体として複製能を獲得するためのライセンシング機構として重要である。また、分裂期における母・娘中心体間の早期分離は、異所性の微小管形成中心を誘発し、染色体分配異常の原因となる。このように、中心小体間結合の維持および消失は適切な中心体複製とゲノム安定性維持に必須であるが、その機構は未解明な点が多い。これまでの解析から間期の母・娘中心小体間結合に必須な因子としてCep57L1を新たに同定した。しかしながら、Cep57L1が具体的にどのように母・娘中心小体間の結合を制御するかは不明である。本研究では、染色体不安定性を伴うMVA(多彩異数性モザイク)症候群の原因遺伝子であるCep57(centrosomal protein 57kDa)とそのパラログCep57L1が中心小体の過剰複製を抑制することを明らかにしました。Cep57・Cep57L1の発現を抑制した細胞では形成直後の娘中心小体が母中心小体の側面から分離し、分離した中心小体の側面のそれぞれから再び中心小体が複製されました。さらにまた、過剰複製された中心小体が高頻度に染色体分配異常を引き起こすことを見出しました。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Cell Biology
巻: 220 ページ: e202005153
10.1083/jcb.202005153.
巻: 220 ページ: e202006085
10.1083/jcb.202006085.