鉄は水溶性の二価鉄イオンでなければ、輸送体を通過することも細胞内で利用することもできない。しかし、二価鉄はその反応性の高さゆえに活性酸素産生の主たる原因となるため、安全に細胞内を輸送する必要がある。鉄シャペロン分子は鉄の取り込み・鉄の排出両方に関与し、直接輸送体との間で鉄の授受を行うことで、フリーの二価鉄イオンとして存在することを防ぐ。 小胞体は蛋白質の正常な合成のために鉄を必要とする小器官である。本研究にて、ヒト細胞にて小胞体内腔へと鉄を輸送する分子を見出すことができた。また、この輸送体には鉄シャペロン分子が結合することから、鉄シャペロン分子と輸送体間で鉄の授受が行われていることが示唆された。
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