研究実績の概要 |
細胞内輸送は細胞機能の維持に必須な物質輸送機構であり、アクチンや微小管といった細胞骨格とそれに付随するモータータンパク質によって駆動される。輸送モーターがカーゴ(積荷)に付属した特異的なアダプタータンパク質を認識して結合することで、精密に制御された物質輸送が可能となる。しかし、その生理的な重要性に関わらず、植物の微小管依存的な細胞内輸送の分子機構には未解明な部分が多い。本研究では微小管輸送依存的な細胞内輸送を支える分子機構の解明を目指した。 本年度はヒメツリガネゴケに存在する既知の輸送モーターであるKCBP(VI型kinesin-14)のドメイン解析を行い、輸送に必要となるドメインの同定を目指した。その結果、FERMドメイン、MyTH4ドメインの両方がキネシンの輸送機能に重要であることを見出した。この成果は Cell Structure and Function誌に発表した(Yoshida et al., 2019)。 また、機能未知のヒメツリガネゴケキネシン(kinesin-13とkinesin-8)の機能解析と生化学的解析を行った。その結果、両者がヒメツリガネゴケの細胞分裂に必須ではないものの、微小管の動きを介して原子体細胞の先端成長を制御することを見出した。この成果は Plant Cell誌に発表した(Leong et al., 2020)。
|