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2021 年度 実施状況報告書

植物の細胞内輸送機構を支える分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K23723
研究機関名古屋大学

研究代表者

山田 萌恵  名古屋大学, 理学研究科, 助教 (80848391)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2023-03-31
キーワード微小管 / キネシン / ヒメツリガネゴケ
研究実績の概要

アクチンや微小管といった細胞骨格とそれに付随するモータータンパク質によって駆動される細胞内輸送は、細胞機能の維持に必須な物質輸送機構である。小胞やオルガネラ、タンパク質、RNA等がカーゴ(積荷)として輸送されることが知られており、輸送モーターがカーゴに付属した特異的なアダプタータンパク質を認識して結合することで、精密に制御された物質輸送が可能となる。しかし、その生理的な重要性に関わらず、植物の微小管依存的な細胞内輸送の分子機構には未解明な部分が多い。そこで、遺伝学的ツールの利用が可能であり、顕微鏡観察に適した細胞を持つ基部陸上植物ヒメツリガネゴケ(Physcomitrium patens)を用いて研究を行い、植物細胞内輸送を支える分子基盤や制御機構の解明を目指す。

近年開発されたゲノム編集技術を用いて、複数の順行性キネシンの多重遺伝子欠損株を作出した。しかしながら、細胞内輸送異常の表現型として予想される核や葉緑体の配置異常は認められなかったことから、解析した順行性キネシンは細胞内輸送には関わっておらず、別の因子が輸送に寄与している可能性が高い。今回は順行性輸送モーターの同定には至らなかったが、複数種類の多重遺伝子欠損株を作出したことによりゲノム編集技術に関するノウハウが蓄積したことは、今後の変異体作出において貴重な収穫になったといえる。
キネシンとカーゴのアダプタータンパク質候補であるKLC はTPRモチーフを持つことで特徴づけられる。KLCについて網羅的に解析するにあたり、BLASTサーチによりTPRモチーフを持つKLC様タンパク質を12種類同定した。これらに対して局在解析を行ったところ、興味深いことにいくつかのKLC様タンパク質がミトコンドリアや微小管に局在した。これらが細胞内輸送に関与しているかどうかは現時点では不明であるが、さらなる研究の進捗が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

順行性輸送モーターの同定には至らなかったが、解析したキネシンが輸送モーターである可能性が排除できたため。また、興味深い局在パターンを示すKLCを見出したため。

今後の研究の推進方策

細胞内輸送のアダプタータンパク質の同定を目指して、進行中のKLC (kinesin light chain)の機能解析実験を継続する。

次年度使用額が生じた理由

消耗品にかかる費用が当初予定していたより少なかったため未使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Kinesin-13 and kinesin-8 function during cell growth and division in the moss physcomitrium patens2021

    • 著者名/発表者名
      Moe Yamada, Shu Yao Leong, Tomoya Edzuka, Gohta Goshima
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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