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2020 年度 実施状況報告書

アスガルド古細菌に探る細胞形態の制御機構の分子進化

研究課題

研究課題/領域番号 19K23727
研究機関岡山大学

研究代表者

千住 洋介  岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (90536848)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2022-03-31
キーワード構造生物学 / 分子進化 / 真核生物起源 / 生体膜
研究実績の概要

研究の目的
真核生物が、原核細胞からどのように生じたのかは今のところよく分かっていない。しかしながら、アスガルド古細菌が真核生物と同様な細胞機能をすでに獲得していたことが分かれば、真核生物と原核生物のミッシングリンクを埋める可能性を秘めている。メタゲノム解析の結果から、真核生物に相同性を持つ、細胞形態を制御するタンパク質がアスガルド古細菌で見出されている。つまり、細胞膜の形態形成機構が、真核生物のみならず、原核生物にも共通して保存されていることを示唆する。したがって、アスガルド古細菌に見出された細胞形態を制御するタンパク質の結晶構造を解き、機能を解明することで、細胞膜の形態変化に代表される生命システムが、どのように進化してきたかを解明する。
研究実施計画
[Step1] アスガルド古細菌で見出された細胞形態を制御するタンパク質の人工遺伝子合成をした。[Step2] タンパク質の発現・精製をした。[Step3] 緑色蛍光タンパク質 (GFP) を融合したアスガルド古細菌の細胞形態を制御するタンパク質を細胞で発現させ、細胞膜の変形能を有するか調べるとともに、どのような細胞内構造に局在するか明らかにした。[Step4] タンパク質の結晶化条件のスクリーニングを行い、結晶を得た。[Step5] 現在、大型放射光施設Spring-8のビームラインを用いることにより、X線結晶構造解析を試みている。
上記の一連の研究から、アスガルド古細菌の細胞形態を制御するタンパク質による細胞の形態形成が、進化の過程を通して生命活動の維持に必須の機能であったか解明することが可能となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

[Step1] アスガルド古細菌で見出された細胞形態を制御するタンパク質の人工遺伝子合成をした。
[Step2] タンパク質の発現・精製をした。
[Step3] 緑色蛍光タンパク質 (GFP) を融合したアスガルド古細菌の細胞形態を制御するタンパク質を細胞で発現させ、細胞膜の変形能を有するか調べるとともに、どのような細胞内構造に局在するか明らかにした。
[Step4] タンパク質の結晶化条件のスクリーニングを行い、結晶を得た。
[Step5] 大型放射光施設Spring-8のビームラインを用いることにより、X線結晶構造解析を試みた。現在、セレノメチオニンを導入して位相を決定している。
X線結晶構造解析が計画どおりに進まないときは、細胞形態を制御する他のタンパク質を試みる。

今後の研究の推進方策

[Step1] 大型放射光施設Spring-8を用いることにより、X線結晶構造解析を試みる。セレノメチオニンを導入して位相を決定する。得られたX線回折データから、立体構造を明らかにする。真核生物の既知の細胞形態を制御するタンパク質の立体構造と比較することで、細胞内機能を予測する。また、リン脂質との結合に必要なアミノ酸残基の保存性を考察する。X線結晶構造解析が計画どおりに進まないときは、細胞形態を制御する他のタンパク質を試みる。
[Step2] 精製した古細菌の細胞形態を制御するタンパク質をAlexa488などの蛍光色素で標識し、巨大脂質膜リポソーム (GUV: Giant Unilamellar Vesi cle) に作用させることで、細胞膜の変形能を有するか明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

研究実施計画に変更が生じたため。
使用計画
生化学実験試薬は、クローニング、タンパク質精製、結晶化解析スクリーニングキット、構造解析や、脂質をAvanti Polar Lipidsから購入する。タンパク質の生理学的機能を調べるため、細胞培養のための培地、血清 (FBS)、抗体、細胞などを購入する必要がある。共焦点レーザー走査型顕微鏡共同利用機器利用料が必要である。国内・国際学会での研究の成果発表や情報交換のための旅費 (交通費、宿泊費) が必要である。
共同研究者と共同研究の打合わせのための旅費 (交通費、宿泊費) が必要である。研究成果を論文として発表するための英文校閲料、投稿費が必要である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] Fluorescence Assays to Study Membrane Penetration of Proteins2021

    • 著者名/発表者名
      Senju Yosuke、Zhao Hongxia
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: 2251 ページ: 215~223

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-1142-5_16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Liposome Co-sedimentation and Co-flotation Assays to Study Lipid?Protein Interactions2021

    • 著者名/発表者名
      Senju Yosuke、Lappalainen Pekka、Zhao Hongxia
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: 2251 ページ: 195~204

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-1142-5_14

    • 査読あり
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/senju

  • [備考] Google Scholar

    • URL

      https://scholar.google.co.jp/citations?user=hp0G-ngAAAAJ&hl=ja

  • [備考] 岡山大学 研究者総覧

    • URL

      https://soran.cc.okayama-u.ac.jp/html/84dc2a3fb4cb5a5c74506e4da22f6611_ja.html

  • [備考] Okayama University

    • URL

      https://okayama.pure.elsevier.com/en/persons/yosuke-senju

  • [備考] KAKEN

    • URL

      https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000090536848/

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公開日: 2021-12-27  

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