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2019 年度 実施状況報告書

新たな手法DamIDを用いた多様な神経細胞を作り分けるメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K23739
研究機関茨城大学

研究代表者

鈴木 匠  茨城大学, 理工学研究科(理学野), 助教 (30623764)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード神経幹細胞 / ショウジョウバエ / DamID / 脳 / 視覚中枢
研究実績の概要

脳神経系が正常に機能するには、正確な神経ネットワークの構築、すなわち、適切な種類の神経細胞が必要な数だけ生み出され、正しい相手と神経連絡を作ることが必要不可欠である。しかし、それらの驚くほど多種多様な神経細胞がどのようにして神経幹細胞から生み出されているのか、その制御機構には不明な点が多い。神経幹細胞では、Temporal Factorと呼ばれる一連の転写因子群が一過的に特定の順序で発現し、生み出される神経のタイプを規定していることがわかっているが、Temporal Factorの下流でどのような遺伝子が制御され細胞の運命を決定しているのか、その分子メカニズムは全くわかっていない。それぞれのTemporal Factorの下流で機能する遺伝子群を同定するには、それぞれのゲノムワイドなDNA結合パターンを解析することが有効であると考えられたため、DNAメチルトランスフェラーゼ(Dam)を利用したDamID法を選択した。

初年度である今年度は、DamID法の実施に必要な遺伝子組換え系統の作出に注力した。まず、それぞれのTemporal FactorにDamを融合させたタンパク質を発現する系統を作出するために、それぞれのコンストラクトを作成した。それぞれの遺伝子組換え系統の作出は次年度に行う。また、実際の解析では、これらのDam融合タンパク質を任意の細胞で、任意の発生ステージで発現させる必要がある。このような手法としてGal4/UASシステムが知られており、転写因子Gal4はUASの下流に位置する遺伝子の発現を強力に誘導する。今年度のGal4系統スクリーニングにより、今後の解析に非常に有用な、古い幹細胞でだけ特異的に発現している系統を同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基本的な研究備品、ショウジョウバエ飼育設備の導入が完了し本研究の遂行が可能となった。本研究で中心的な解析となるDamIDでは、任意の細胞で、任意の発生ステージにおいてDam融合タンパク質を発現させる必要がある。このような手法としてGal4/UASシステムが知られており、転写因子Gal4はUASの下流に位置する遺伝子の発現を強力に誘導する。このGal4はGal80タンパク質によって抑制されるため、Gal80を用いれば、Gal4が機能する時期を制限できる。

現在までに、Gal4系統のスクリーニングが完了しており、古い幹細胞でだけ発現するGal4系統を見出している。また、DamID解析に必要なGal4、Gal80などの多くの系統の作成が終了している。Temporal Factor融合Dam系統については、系統作出に必要なコンストラクトの構築がほぼ完了しており、トランスジェニック系統の作出が可能な状態になっている。

今後の研究の推進方策

本年度に作成したコンストラクトをショウジョウバエに導入し、それぞれのTemporal Factor融合Dam系統を作出する。これらの系統と本年度に作成したGal4系統を用いてDamID解析を行い、それぞれのTemporal Factorの下流で機能する遺伝子を同定する。

次年度使用額が生じた理由

初年度では、Dam融合タンパク質のコンストラクト作成までは完了したが、トランスジェニックショウジョウバエの作出に至らなかったため、「その他」として計上していたコンストラクトのインジェクション委託費用が未使用となった。当該未使用額については、次年度に予定しているインジェクション委託費用として用いる。

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公開日: 2021-01-27  

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