研究課題/領域番号 |
19K23741
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河西 通 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (80830752)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 組織伸長 / 体軸伸長 |
研究実績の概要 |
さまざまな器官の形成過程において、しばしば複数の異なる組織が協調して伸長し、長さを揃える現象がみられるが、その制御機構はほとんどわかっていない。申請者はゼブラフィッシュ胚の体軸伸長プロセスにおけるfloor plate(FP)と脊索の協調した伸長現象に着目し、これらの組織が協調して伸長するメカニズムを明らかにする。とくに本研究ではFPと脊索の力学的特性に着目し、計測および摂動実験によってその機構の一端を明らかにする。 本年度では、ゼブラフィッシュ体節形成期の胚の尾部に外科的手術を施し適切な培地で飼育することにより、FPおよび脊索の移動細胞集団を除去することに成功した。またこの摂動実験において、免疫抗体染色やタイムラプス観察を用いて、FPにおける伸長現象のいくつかの特徴が影響を受けることを発見した。以上から、体軸組織の協調した伸長現象に細胞移動が関与していることが示唆された。現在、この外科的な実験手法を援用して、伸長を阻害するだけでなく逆に伸長を促進することができるよう条件検討している。 一方で細胞張力分布の計測・推定については、張力センサープローブの作成および抗ミオシン抗体による免疫抗体染色の予備実験が終了したところである。レーザーアブレーション実験による細胞張力の推定については、今のところ行えていない。今後はこれらのツールを用いて張力分布の記載を行うとともに、上記の摂動実験と組み合わせることにより組織伸長との関連を探る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外科的手術による伸長阻害実験の条件検討に時間がかかった。また、抗体を用いた染色条件の検討にも予想以上の時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに確立したツールをもとに伸長現象における張力分布の可視化・推定を行う。また、さらなる摂動実験を行うことよって、組織間の協調した伸長に関する仮説の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に計上していた共同研究のための海外出張に関わる費用について、研究の進捗状況から本年度ではなく次年度に重点的に行うことにした。
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