研究課題/領域番号 |
19K23742
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中山 北斗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30610935)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | Evo-Devo / 葉 / Amborella trichopoda / インフォマティクス |
研究実績の概要 |
本研究計画は、被子植物において葉の獲得を可能にした分子機構を世界に先駆けて明らかにしようとするものである。植物において葉の獲得は光合成の効率化をもたらし、放出される酸素が地球の大気組成の変化をももたらした。応募者は、これまでその詳細が全くの謎で あった葉の獲得を可能にした分子機構を、進化学的観点から複数の植物群を選択し、分子生物学的手法、インフォマティクスなどを駆使して2年計画で明らかにする計画である。 2019年度は、 研究実施計画にあるように、現存する被子植物の系統樹上で最基部に位置するAmborella trichopodaを用いた各種実験を行なった。A. trichopodaは雌雄異株であり、これまでの研究では花の形態は注目されていたが、本研究で着目する葉の形態やその発生過程については詳細な研究はなされていなかった。 そこで、葉の形態や発生過程に関して雌雄別に解析し、それらに関して、雌雄で差がないことを明らかにした。そこでA. trichopodaを日本で最大個体数保持している東京大学大学院理学性研究科附属植物園において、植物をサンプリングした。サンプリングの際は、複数の雌株から、茎頂、葉原基を含む茎頂、さらに発生の進んだ葉原基を含む茎頂をサンプリングし、mRNAの抽出ののち、RNA-seqライブラリーを作製した。作製したライブラリーはHi-seqを用いてシークエンスを行なった。得られたリードはQCののち、A. trichopodaのゲノム配列にmappingを行ない、カウントデータを得た。現在はDEG解析や、カウントデータを用いた共発現遺伝子ネットワークの構築などを行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、被子植物が葉の獲得を可能にした分子機構を明らかにするために、2年計画で、複数のモデル植物を用いたトランスクリプトーム、葉の形態形成遺伝子ネットワークの構築、種間共通するコアネットワークの抽出、コアネットワークの変遷の解明と機能解析を行なう計画であるが、そのうち、植物材料の確保が難しく、一番の懸念であったAmborella trichopodaを用いた基礎的な形態学的、発生学的実験が完了し、さらにRNA-seqデータが得られたことは 研究実施計画通りであり、大きな進展であると考えられる。 そのため、進捗状況は、(2)おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、Amborella trichopodaの葉原基から得られた RNA-seqデータを用いたDEG解析や、カウントデータを用いた共発現遺伝子ネットワークの構築などを行なっている。それらが完了し次第、他のモデル植物でも同様の解析を行なう。具体的には、すでにA. trichopoda 以外にも複数のモデル植物においてRNA-seqデータを有しており、A. trichopodaの場合と同じく、WGCNA法による共発現遺伝子ネットワークの構築を行なう。そののち、構築された遺伝子ネットワークの種間比較を、統計的にネットワーク構造を比較することが可能なRパッケージであるDiffCorrを用いて解析を行ない、被子植物の葉の発生に関わる遺伝子群を探索する計画である。
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