本年度は褐色脂肪細胞減少ー再生マウスモデルの構築を行った。 当初はインスリン受容体floxマウスの褐色脂肪組織にAAV8ウイルスを接種し遺伝子導入を行う実験系を予定していたが、COVID19の影響などによる実験の遅延を認めた。そのため、褐色脂肪細胞減少ー再生を確認できるより確度の高いマウスモデルとして褐色脂肪細胞に選択的に発現しているUCP1遺伝子のプロモーター下にCreERT2(タモキシフェン誘導型Cre)を発現するマウス(UCP1CreERT2)を作製した。CreERT2が褐色脂肪細胞に発現しているこを確認した。現在、インスリン受容体floxマウスと掛け合わせており後天的に任意のタイミングで褐色脂肪細胞を消去することができる褐色脂肪細胞除去マウス(UCP1CreERT2-IR fl/flマウス)を作製し実験を進める予定である。 前年度において若齢マウスと老齢マウスの検討から老齢マウスの褐色脂肪組織では細胞内代謝、組織の炎症関連遺伝子の増加などを認めることが明らかになっている。したがって、若齢マウスと老齢マウスの褐色脂肪組織では組織の構成細胞が大きく異なることが考えられる。前年度の研究によって、脂肪組織のシングルセル解析評価系を確立しており、今後作製したマウスを用いて褐色脂肪細胞がどのように再生していくのか、単一細胞レベルで評価すを行い褐色脂肪細胞の再生メカニズムを明らかにする。また、加齢によって再生メカニズムがどのように障害されるのかを明らかにしたい。
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