2020年度中の研究の結果、木質組織配置の定量化がシロイヌナズナ花茎の力学特性の変化を理解する上で重要であることが明らかとなったことを踏まえ、X線CTを用いた木質組織配置の定量解析を厳密化・自動化するための解析手法の改良に取り組んだ。シロイヌナズナ花茎のCT観察に適した造影剤やCT撮影条件を再検討し、グレーバリュー解析と画像の自動解析プログラムを実装した。本方法は、横断切片による花茎の内部構造の観察と比べ、時間・労力が少なくて済み、プログラムによる木質組織の二次元配置の定量・自動解析が容易である点において優れており、力学試験と組み合わせたスクリーニングを可能とするものである。また、ユーカリ側枝にも同様の解析方法が適用できることも明らかにしており、今後様々な植物種への展開が期待できる。本方法の詳細と得られた結果について、2022年3月の日本植物生理学会大会においてポスター発表を行った。 2019年度中に確立したクリープメーター(Yamaden RheonerII)と高解像度マイクロスコープを組み合わせた手法について、圧縮試験による力学特性の解析への拡張も行った。これにより、圧縮方向に対して垂直の面方向への組織・器官に伸展の過程を力学的応答と同時に記録することが可能となった。この方法を活用し、マメ科植物の器官の力学特性の解析を行い、その結果を含めた論文を当該年度中に学術誌に投稿し、プレプリントサーバーbioRxivにおいて公開した。
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