哺乳類の左右軸の決定に関与する、マウスノード不動繊毛はメカノセンサーなのか否かを明らかにするため、本年度は以下の研究を実施した。特に、本年度は大幅に研究が進展し、マウスノード不動繊毛へ機械刺激を与えたときの応答を定量化することに成功した。 ①光ピンセットを用いたマニピュレーション技術のアップデート 昨年度構築した光ピンセット光路を駆使して、光学部品や刺激条件を最適化することによりマウスノード不動繊毛へ安定して機械刺激を与えることが出来るようになった。特に、ノード流と同じ方向であるz方向に繊毛を曲げることに成功した。 ②新規遺伝子組み換えマウスを用いたカルシウム以外の下流シグナルのモニター 新規に遺伝子組み換えマウスを作成することにより、機械刺激を与えた際の下流シグナルをモニターすることに成功した。特に、ノード流を欠失したマウス (iv/ivミュータント) を用いることにより、こうした応答が機械刺激のみに起因することであることを証明しようとしている。 これらの結果は、マウスノード不動繊毛がメカニカルな刺激に反応するメカノセンサーであることを強く示唆しており、当初の目的であった「メカノセンサーであるか否かを明らかにする」という問いにある程度答えることが出来た。現在これら結果に関して追加の検証実験を行い論文化を目指している。特に、この現象が左右軸決定に関与するシグナル経路に関わるものであるかを検証する予定である。
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