研究対象としたイチヤクソウ亜科の集団を探索するため,国立科学博物館や金沢大学等で標本調査を行った。続いて,イチヤクソウ亜科の解析用サンプリングや,集団内の形態変異を把握するための現地調査を,北海道大雪山系や夕張岳,福島県内,札幌市周辺などで行った。国内に分布する同亜科に含まれる種については,一部の希少種を除き,一通りの形態データとサンプルを得ることができた。一方で,昨年度から投稿を続けているヒトツバイチヤクソウの分類に関する論文は,問題点を改めて整理し再投稿することができたものの,受理には至っていない。 申請時の計画では研究期間内に安定同位体比分析を実施する予定であったが,新型コロナウイルス感染拡大の影響で現地調査が遅れたこと,研究中に分類に関する新たな課題が見つかり優先して進めたこと,この課題が未だ解決に至っていないことなどが原因で,実施できなかった。分析に必要なサンプルは一通り揃っているため,研究期間終了後に分析する予定である。 本研究の一連の成果について,京都大学生態学研究センターが定期的に主催するセミナー(生態研セミナー)で,研究者・学生むけに2022年4月に講演した。また,2020年に公表したイチヤクソウのアルビノ個体の発見についての一般向け講演を,札幌市博物館活動センターのミュージアムトークで,2022年12月に行った。このほか,イチヤクソウ属内の葉の形態変異に関する投稿論文原稿の執筆を進めた。
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