両親で子育てし繁殖投資量の性差の小さい一夫一妻の種では、同性内競争と相互配偶者選択さらには性的対立も同時に生じると予想されるが、検証例は少ない。モズは一夫一妻の鳥類で、交尾後の時期はペアボンドが強固だが、交尾前の時期は不安定であるため、交尾前の時期で性的対立が生じやすいと予想される。繁殖雄の貯食行動の観察の結果、雄は交尾前の時期は90.1 ± 15.1%のはやにえを隠蔽貯蔵したが、交尾後の時期は89.8 ± 17.6%のはやにえを「開放貯蔵」した。隠蔽貯蔵のはやにえの97.5 ± 7.1%は雄自身が回収したが、開放貯蔵のはやにえの57.7 ± 33.4%は雄が回収し、残りは雌が回収した。
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