研究課題/領域番号 |
19K23771
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
齊藤 夕貴 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (70732436)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | オレキシン / モノアミン / ノルアドレナリン / ドーパミン |
研究実績の概要 |
オレキシンニューロンの軸索は小脳をのぞく中枢神経系全域に投射していることが明らかになっており、モノアミン神経系の起始核である青斑核、縫線核、結節乳頭体核などに顕著な投射がみられる。本研究では従来のオレキシンニューロンのみにCreが発現するOrexin-Creトランスジェニックマウスに加え、新たに作出したOrexin-iCreノックインマウス(Orexin-iCre)を用いてcTRIO法(Schwarz, et al., 2015)によりオレキシンニューロンの出力先であるモノアミン神経系の起始核に対応したオレキシンニューロン群の入力源(インプットニューロン)を同定することを目的とした。 まず、Orexin-iCreノックインマウスをドライバーマウス(Rosa26-tdTomato)とかけ合わせ、iCreの発現がオレキシンニューロン特異的であることを確認した。 次に、研究に必要となる各種AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクター・SADΔGベクターを精製し、出力先のターゲットとして、ノルアドレナリン神経の起始核である青斑核(LC)やドーパミン神経の起始核である腹側被蓋野(VTA)をターゲットとしてcTRIO法による神経トレース実験を行い、それぞれの起始核に投射するオレキシンニューロンへ直接入力するニューロン群を明らかにした。 特に、両者の結果において中隔や線条体のBNST、側坐核、淡蒼球、視索前野、視床下部、扁桃体などにインプットニューロン群が存在しており、VTAのドーパミンニューロンやLCのノルアドレナリンニューロンはオレキシンニューロンを介して同様の入力パターンを持っていることが示唆された。また、免疫組織染色やin situ hybridization法を用いて、インプットニューロンが何ニューロンであるのかを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Orexin-iCreノックインマウスを用いて、ノルアドレナリン神経の起始核である青斑核(LC)やドーパミン神経の起始核である腹側被蓋野(VTA)へ投射するオレキシンニューロンに直接入力するニューロン群を明らかにした。 また、免疫組織染色やin situ hybridization法を用いて、インプットニューロンが何ニューロンであるのかを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
他のモノアミン神経核に対しても同様にcTRIO法による逆行性トレース実験を行う。 また、cTRIO法を応用して同一個体において複数の出力先をターゲットにした逆行性トレース実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた機材について新型コロナウイルス感染症拡大の影響により納期が遅れ、当該年度内での購入が不可能であったことから、次年度に購入予定を繰り越したため。
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