研究課題
本研究は、意識障害患者の頭皮上脳波における、低周波、高周波律動の発作原性、脳機能予後を予測する電気生理学的バイオマーカーとしての役割の確立と生成機序の解明を目指す研究である。研究代表者は低周波律動のうちshort infraslow activity(SISA)と命名した活動が低酸素脳症のburst-suppressionで認めることを報告していた(Togo et al. 2018)。2019年度には麻酔薬や代謝性脳症が原因によるburst-suppressionにおいてSISAは低振幅か認めないことが多く、急性症候性発作、予後不良の症例ではSISAの振幅が有意に高いことを示しており(Togo et al. International Epilepsy Congress 2019, 日本てんかん学会 2019)、論文投稿準備中である。2020年度にはもやもや病や内頚動脈狭窄の血行再建術後の再灌流による神経症状出現と関連して低周波律動が出現することを報告しており(林ら.日本神経学会 2020, 日本臨床神経生理学会 2020)現在論文作成中である。また硬膜下電極記録からてんかん発作の焦点では遅い潜時の誘発電位の振幅が低下することを示し発表予定である(Togo et al. Asian&Oceanian Epielepsy Congress 2021)。古典的な脳波における周波数帯域ではてんかん発作の出現や予後について予測することが難しい状況も存在するが、低周波活動、高周波活動を使用することで発作や神経学的転帰の予測の可能性を示している。助成期間終了後も集中治療期の多数症例の脳波を多施設共同研究で蓄積し、より幅広い病因による意識障害時の低周波律動、高周波律動の解析やsource modelingにより、引き続きこれらの活動の生理学的意義の探索と、臨床応用を目指していく。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件)
Clinical Neurophysiology Practice.
巻: 6 ページ: 29-35
10.1016/j.cnp.2020.11.004.
臨床神経学
巻: 60 ページ: 362-366
10.5692/clinicalneurol.cn-001368
Clinical Neurophysiology.
巻: 131 ページ: 2255-2264
10.1016/j.clinph.2020.04.167.