研究課題/領域番号 |
19K23778
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
網田 英敏 京都大学, 霊長類研究所, 特定助教 (80845321)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 神経科学 / 大脳基底核 / ペリニューロナルネット / ルーティン / スキル / 霊長類 / タッチパネル / ベクター |
研究実績の概要 |
習慣化された行動、すなわち、ルーティン行動やスキルは、私たちの日常生活を支えている。これまでの研究で、大脳基底核がルーティン行動やスキルに関与していることが示唆されているものの、どのようにして脳がルーティン行動を制御しているのかについてはまだよくわかっていない。本研究では、大脳基底核に存在する細胞外マトリックスのひとつ「ペリニューロナルネット」に着目し、ルーティン行動を維持・制御する神経機構の解明をすすめる。 本年度は実験系の立ち上げ、開発、確立をおこなった。ケージマウント型タッチパネル装置を導入することにより、複数個体で並行して行動課題のトレーニングをおこなうことができるようになった。これにより、被験動物は行動課題に自発的に参加することができ、被験動物への負担を軽減したスムーズなトレーニング法を確立した。また、大脳基底核の神経ネットワークを明らかにするため、MRI画像ベースのナビゲーションシステムを使って脳深部領域へのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの局所注入実験をおこなった。その結果、狙った領域にベクターを注入することに成功した。現在、AAVベクターの発現領域を調べることで、投射関係を解剖学的に確かめている。この手法は今後、神経回路操作に応用する予定である。これらに加え、脳組織標本を用いた組織染色実験をおこなった。ペリニューロナルネットの免疫染色手法を確立し、どの領域にペリニューロナルネットが局在しているかを解析できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、本研究に関連する機器や試薬類を購入し、実験装置や実験手法を開発・確立することができた。以下のように複数の実験プロジェクトを始動させており、今後の成果が期待できる。 行動実験については、新たにケージマウント型タッチパネル装置を開発・完成させ、ケージ内で被験動物に対して行動課題を訓練させることに成功している。ペアケージを使うことにより、動物への負担を軽減したスムーズな訓練ができるようになった。神経回路のトレーシング実験については、当初はG欠損狂犬病ウイルスベクターを使用して神経回路を同定する予定であったが、今後の神経回路操作のことも念頭に置いて、神経回路操作にも応用可能な順行性AAVベクターを注入する実験に切り替えた。狙った脳領域にAAVベクターの注入が出来ており、現在、詳細な解析をおこなっている。組織染色実験については、ペリニューロナルネットの染色方法の確立に成功し、脳組織標本を用いてペリニューロナルネットの局在を解析できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
確立した実験系を用いて実験を進めていく。 ケージマウント型タッチパネル装置を用いて複数頭、同時並行で実験課題を訓練していく。数か月にわたって訓練をおこない、被験動物にルーティン行動およびスキルを習得させる。ルーティン行動を習得したのち、ペリニューロナルネットを除去する薬剤を注入し、ルーティン行動に変化があるかどうかを調べる。神経回路トレーシング実験で得た知見をもとに、AAVベクターを用いた神経回路選択的な活動操作をおこない、神経回路操作により、ルーティン行動やスキルの制御に必要な神経ネットワークを解明する。
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