心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化性冠動脈疾患は日本人の死因の約16%を占める疾患である。HDLは、血管内皮マクロファージから余剰のコレステロールを引き抜くことで動脈硬化プラークの形成を抑制する。しかし、HDLのリン脂質組成が、そのコレステロール引き抜き能にどのように影響するのかは明らかになっていない。本研究では、ヒト血漿リポタンパクを対象とした、PC、PEおよびSM定量分析法を確立した。今後、PC、PE、SM以外のリン脂質に対する定量分析法をさらに確立し、より網羅的なHDLリン脂質組成の定量分析を可能にすることで、動脈硬化性疾患の抑制因子として機能するリン脂質の同定に繋がることが期待できる。
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