研究課題/領域番号 |
19K23805
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
水野 夏実 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (40738621)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | MHC class Ⅱ / Tofacitinib / Macrophage |
研究実績の概要 |
(1)マウスマクロファージ細胞株において IFN-γ 誘導性 MHC class Ⅱ (抗原提示分子) の発現が Tofacitinib により増加することをタンパクレベル・転写レベルの両方で起こることをフローサイトメトリー法・リアルタイムqRT-PCR法により確認した.また,TofacitinibによるIFN-γ 刺激誘導性の共刺激分子発現増加に対する影響についても同様に解析した. (2)TofacitinibによるIFN-γ 刺激誘導性MHC class Ⅱ発現増加のメカニズムについて,MHC class Ⅱ発現のマスター転写因子と言われているCIITA (Class II Major Histocompatibility Complex Transactivator) の発現をリアルタイムqRT-PCR法により解析した.さらに,CIITAのプロモーターによる違いを比較検討した. (3)TofacitinibによるIFN-γ 刺激誘導性MHC class Ⅱ発現増加のメカニズムについて細胞内シグナル変化を解析した.IFN-γ下流シグナルであるSTAT1, IRF1, 既にIFN-γによる活性化が報告されているMAPKなどへのTofacitinibの影響をWestern blotting法,リアルタイムqRT-PCR法を用いて解析したが,現在までにMHC class Ⅱ発現変動と相関する細胞内シグナル分子を同定できていない. (4)Tofacitinibの作用点として新たに細胞周期への影響を見出し,現在解析を進めている. (5)THP-1 細胞(ヒト単球細胞株)におけるIFN-γ 刺激誘導性MHC class Ⅱ発現に対するTofacitinib の影響をqRT-PCR法,フローサイトメトリー法による解析の条件検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画で予定していたMHC class Ⅱ発現変動ならびに共刺激分子発現変動の確認をタンパクレベルおよび転写レベルで確認,主要な細胞内シグナル分子への影響解析が完了している. さらに計画当初は調査しきれていなかったCIITAプローモーターの違いに着目したことで,新たなTofacitinibの作用点の可能性を見出し,研究を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
(1)新たなTofacitinibの作用点として細胞周期への影響解析を進め,TofacitinibによるIFN-γ 刺激誘導性MHC class Ⅱ発現増加メカニズムの一端解明を目指す. (2)ヒト単球系細胞株を用いてTofacitinibによるIFN-γ 刺激誘導性MHC class Ⅱ発現増加の再現性の確認を継続する. 現在進行しているヒト単球系細胞株を用いた解析ならびに細胞周期への影響解析の結果をまとめた成果を学会および論文として成果発表したい.
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