研究実績の概要 |
今年度は、腎特異的レプチン受容体欠損マウスに関して解析を行った。その結果、腎臓におけるグロボ系スフィンゴ糖脂質(Gb3, Gb4)の発現は、対照群と比較し顕著な変化が見られなかったことから、レプチンシグナリングは、間接的に腎臓の糖脂質発現に影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、昨年度から今年度にかけて、レプチンシグナル以外にインスリンシグナルが欠損しているAkitaマウスや薬剤(streptozotocin)誘導性糖尿病モデルマウスにおいても、腎臓のグロボ系糖脂質発現ならびにその合成酵素遺伝子発現が低下していることを見出した。レプチンやインスリンシグナルが欠損することでグロボ系糖脂質の発現は顕著に低下する一方で、Hexoseが2つCeramideに結合したHex2Cerが増加していること、そして、そのHex2CerがGalabiosylceramide (Galα1-4 Gal-Ceramide)であることをLectin-probed TLC analysisによって明らかにした。 Galabiosylceramideに関しては、その生理活性について炎症を促進する作用を持つことも一部つかんでいる。今後は、糖脂質の発現変化を誘導するメカニズムに加えて、発現変化した糖脂質の生理活性発現メカニズムの両方について詳細に明らかにしていく。 この内容については、第14回セラミド研究会学術集会、第94回日本生化学会大会ならびに第63回脂質生化学会にて発表を行った。
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