マイトファジー(ミトコンドリアのオートファジー分解)は、傷害を受けたミトコンドリアを分解することにより老化に関与すると考えられている。しかんしながらマイトファジーと老化の関連やそのメカニズムは不明である。申請者は、マイトファジー活性の加齢にともなう変化が老化を制御していると考え、マイトファジーモニターマウスとそこから単離したマウス培養細胞を用いてそれを検証する。具体的には、(1)老化過程におけるマイトファジー活性の変化や相関、(2)老化に対するマイトファジー活性の影響、を解析する。本研究では、老化過程におけるマイトファジーの関わりを解明するとともに、老年性疾患を抑制するターゲットの提示を目標とした。 (1)マイトファジーモニターマウスを用いて、加齢にともなうマイトファジー活性の経時的変化を、各臓器ごとに解析した。解析には、4、12、21、30ヶ月齢のオスマウスの、脳、肺、心臓、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、骨格筋を用いた。(2)自身が同定したマイトファジー関連遺伝子の欠損マウスを作製し、マイトファジーモニターマウスと交配することで、そのマイトファジー活性を解析した。その結果この遺伝子の欠損により劇的なマイトファジー活性の減少が見られた。そこから単離した胎生線維芽細胞を用いての細胞老化の解析を行なった。 以上の研究はすべておおむね当初の予定以上に進展し、非常に興味深い結果を複数発見しており、マイトファジー関連遺伝子欠損マウスの老化にともなう表現型を解析することで、今後数多くの成果が期待できる。
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