研究計画に基づき二光子励起顕微鏡下に内耳の生体イメージングを行うため、Atoh1-GFP マウスとThy1-CFP マウスの導入を行った。Atoh1-GFPマウスの蝸牛透明化標本を作成して共焦点顕微鏡下に観察し、有毛細胞における GFP の発現を確認した。また Thy1-CFP マウスのらせん神経節細胞および蝸牛神経を摘出して CFP の発現を確認した。続いてAtoh-1GFP マウスとThy1-CFP マウスを交配させ、蝸牛透明化標本を作成した。共焦点顕微鏡下に観察を行い、有毛細胞にGFP を発現しらせん神経節細胞および蝸牛神経にCFP を発現していることを確認し、観察に適したマウスを作成した。 続いて、マウス蝸牛の生体イメージングを行った。内耳展開を行うために、イソフルランで全身麻酔下に気管切開術を行って人工呼吸器で呼吸管理した。顕微鏡下に内頚動脈を温存しつつ下顎骨切除を行って、舌やマウス頭蓋骨に付着する筋肉群を切除した。続いて中耳骨包および耳小 骨を取り除いて内耳骨包を露出した。人工呼吸管理を行いつつナリシゲ社の頭部固定装置を用いて頭部を固定し、二光子励起顕微鏡下に内耳生体イメージングを行える実験系の確立を行った。今後は呼吸による視野の変動や内耳骨包による励起光の散乱を改善し、より安定した視野を得ることで耳毒性や音響不可への内耳の反応を評価し、有毛細胞死や脱神経の動態を明らかにすることを目指す。
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