薬剤性難聴は耳毒性薬物により内耳有毛細胞が変性、細胞死することで感音難聴を引き起こす疾患である。その中でもアミノグリコシド系抗生物質はその広い抗菌スペクトラムから感染症治療で有用な薬剤だが、感音性難聴という有害事象はアミノグリコシド系抗生物質の扱いを困難にする原因の一つとなっている。内耳有毛細胞の細胞死のメカニズムは解明されていないため、アミノグリコシド系抗生物質による薬剤性難聴の機序を明らかにすることは感染症治療の一助になるだけではなく、内耳有毛細胞障害の機序を明らかにする足がかりとなり、更には感音難聴治療へと繋がる可能性があり、臨床的意義が高いと考えられる。
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