研究実績の概要 |
共同研究機関であるLintec of America社に依頼し、実験で使用するカーボンナノチューブの撚糸のサイズを決定した。ラットの前十字靭帯と同程度の径2mmサイズに決定し、また今後に吸収性コラーゲンメンブレン組織を撚糸の中に包埋することも可能であることを確認した。まず、この2mmの撚糸のみの靭帯張力の測定をまず行い(SHIMADZU, EZ-SX)、Failure loadが約20Nであった。ラットの前十字靭帯再建の実験を当科で過去におこなっているが(Kadonishi Y, Ochi M, JBJS Br, 2012)、その際に測定した自家腱移植後の再生靭帯のFailure loadは5~7Nであり、移植前のカーボンナノチューブ撚糸は3~4倍の強度を有していることを確認した。作成したカーボンナノチューブ自体の強度が正常の前十字靭帯よりも強いことが確認できたため、現在は実験モデルの作成を行っている。まず、大腿骨・脛骨に2mm径のドリルを用いて骨孔を作成し、自家趾屈筋腱を骨孔に誘導し、大腿骨・脛骨側の出口をナイロン糸で縫合し、前十字靭帯再建を施行した。引っ張り試験の際に、骨孔出口での損傷を生じないようにすることが実験を行う上で重要である。現在はこのコントロール群の作成を行っているが、骨孔出口での縫合方法の工夫が必要となるため、さまざまな縫合方法をためしているのが現状である。一定の強度が得られたのちに、①自家趾屈筋腱、②カーボンナノチューブ撚糸の2群をまず作成し、比較を行う予定にしている。
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