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2019 年度 実施状況報告書

過敏性肺炎の急性炎症における補体系の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K23840
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

岡本 師  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (60724200)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード過敏性肺炎 / 補体活性化 / マウスモデル / 好中球 / factor D
研究実績の概要

野生型C57BL/6マウスを用いて鳩糞抽出物(PDE)による過敏性肺炎モデルを作成した。PDEを3日間腹腔内注射にて感作し、週に3日PDEもしくは生理食塩水の経鼻投与を3週間繰り返した。感作後、PDEもしくは生理食塩水経鼻投与1週後、2週後、3週後の4つのタイムポイントに分け、最終投与の24時間後にharvestを行い、炎症反応や肉芽腫形成反応について気管支肺胞洗浄液(BALF)中の炎症細胞数や肺組織で評価した。
PDE投与群のBALF中リンパ球数は急性期である1週目に有意に増加し、2~3週にかけて徐々に低下した。一方、好中球数およびマクロファージ数は1~3週にかけて漸増することが明らかとなった。好中球数は3週目が1週目に比べ優位に高値であった。リンパ球数・好中球数・マクロファージ数・好酸球数すべての炎症細胞は、いずれのタイムポイントにおいても生理食塩水による対照群と比べ増加していた。
PDE投与群の肺組織では、肉芽腫を血管および気管支周囲に認めた。感作後1~3週間にかけて数は増加し、肉芽腫径は増大した。生理食塩水による対照群の肺組織では肉芽腫を認めなかった。
気管支肺胞洗浄液中および血漿中のC3aおよびC5aをELISAで測定したところ、PDE投与群は生理食塩水による対照群と比べ高値を示した。
補体活性化の共通経路に関わるC5ノックアウトマウスや副経路に関わるFactor Dノックアウトマウスの入手手続きを進めており、Factor Dノックアウトマウスは数か月以内に使用可能な状態である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年後はPDEによる過敏性肺炎マウスモデルを確立すること、また経時的変化を評価し、補体活性化をみることにあった。現時点では概ね計画通りに進んでいると考えている。
コロナウイルス感染が拡大したことから、動物実験の継続が一時困難となり、マウス数の制限を受け、また遺伝子改変マウスへの移行が不可能となった。

今後の研究の推進方策

Facotr Dノックアウトマウスを用いて、過敏性肺炎マウスモデルを作成し、野生型マウスと比較することで、補体活性化の副経路の重要性を解明し、治療の標的となりうるか検討する。
様々な補体活性化に関わる因子を測定し、肺組織における分布を確認することから、補体活性化および副経路活性化のメカニズムを解明する。

次年度使用額が生じた理由

当初研究申請の時点で申請していた金額よりも少額の使用にとどまった。理由としては。本研究費はスタート支援事業のため約半年間の使用期間についてであることが挙げられた。研究が開始されてからは別の研究費からマウス実験に当てており、本研究のテーマである補体活性化をみるための研究試薬は昨年度の時点ではさほど多くなかった。
また、2020年に入り新型コロナウイルス感染が中国をはじめとし、アメリカや日本でも蔓延した。そのため2019年年末より物流が悪くなり、また日本で新型コロナウイルスが蔓延したことから研究活動の縮小を余儀なくされた。したがって次年度使用額が生じたが、新型コロナウイルス感染が減少してきている中、研究活動も再開の見通しが立ち、予定通り補体活性化に関わる研究を再開できるものと考えている。

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公開日: 2021-01-27  

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