野生型C57BL/6マウスを用いて鳩糞抽出物(PDE)による過敏性肺炎モデルを作成した。PDEを3日間腹腔内注射にて感作し、週に3日PDEもしくは生理食塩水の経鼻投与を3週間繰り返した。感作後、PDEもしくは生理食塩水経鼻投与1週後、2週後、3週後の4つのタイムポイントに分け、最終投与から1時間後、4時間後、24時間後にharvestを行い、炎症反応や肉芽腫形成反応について気管支肺胞洗浄液(BALF)中の炎症細胞数や肺組織で評価した。 PDE投与群のBALF中リンパ球数は急性期である1週目に有意に増加し、2~3週にかけて徐々に低下した。一方、好中球数およびマクロファージ数は1~3週にかけて漸増することが明らかとなった。好中球数は3週目が1週目に比べ優位に高値であった。リンパ球数・好中球数・マクロファージ数・好酸球数すべての炎症細胞は、いずれのタイムポイントにおいても生理食塩水による対照群と比べ増加していた。PDE投与群の肺組織では、肉芽腫を血管および気管支周囲に認めた。感作後1~3週間にかけて数は増加し、肉芽腫径は増大した。生理食塩水による対照群の肺組織では肉芽腫を認めなかった。 補体活性化について、気管支肺胞洗浄液中および血漿中のC3aおよびC5aをELISAで測定したところ、PDE投与群は生理食塩水による対照群と比べ高値を示した。最終投与から4時間後にもC3aおよびC5aは増加傾向を示したが、24時間後でさらに高値を示した。 したがって、過敏性肺炎マウスモデルにおいて、急性期のアレルギー反応に補体の活性化が起こっていることが示された。 今後は、補体活性化の共通経路に関わるC3ノックアウトマウスを用いて補体活性化の役割を検討する予定である。C3ノックアウトマウスはすでに購入済であり、現在は研究準備中である。上記結果を論文化し成果を報告する。
|