研究課題/領域番号 |
19K23846
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宮澤 龍一郎 徳島大学, 先端酵素学研究所(次世代), 助教 (70848374)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | AIRE / 樹状細胞 / カンジダ・アルビカンス |
研究実績の概要 |
AIRE は自己寛容(self tolerance)の成立機構にかかわる胸腺上皮細胞に発現し、その機能異常によって内分泌臓器を標的とする自己免疫疾患を発症する転写調節因子である。興味深いことに、AIRE 欠損症ではCandida albicans による真菌症が、ほぼ必発である。すなわち、AIRE 欠損症では自己免疫病態に加えてカンジダに対する易感染性を認めるが、そのメカニズムは不明である。申請者が所属する研究室では、AIRE 遺伝子座にGFP とAIRE の融合遺伝子を挿入したノックインマウス(AGF マウス)を樹立しているが、AGF マウスを用いてAIRE 発現細胞をモニターしたところ、胸腺上皮細胞に加え、新たに樹状細胞(DC)の一部がAIRE を発現することを見出した。本研究ではAIRE 欠損症に伴う真菌感染発症メカニズムについて、AIRE 発現DC がカンジダ抗原を提示する役割を担い、それによってカンジダ感染に重要な役割を担うIL-17 産生T 細胞(Th17)を誘導するという私どもの仮説を検証する。 DCは他血球細胞に比べ希少な細胞サブセットであり、その機能解析には骨髄細胞より誘導することが求められる。そこで、令和元年度は、リンパ節におけるAIRE発現DCに加え、骨髄細胞からAIRE発現DCの誘導を行い、その細胞の特徴を明らかにした。 また、AGFKI/KIマウスは両アリルがAGFに置き換わり、内在性AIREを欠損し自己免疫疾患を発症するが、AIRE発現運命にあった細胞をAGFの蛍光により検出できる。そこで、AIRE欠損状態におけるAGF+DCへの影響を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ節における発現樹状細胞の特徴を明らかにし、骨髄細胞からAIRE発現樹状細胞の誘導を行った。 AGF+/KIマウスは内在性Aireのレポーターであり、リンパ節と胸腺においてAIREを発現する樹状細胞をAGF(GFP)の蛍光により検出することができる。そこで、カンジダ感染時におけるTh17誘導に重要な機能を担うCタイプレクチンの発現を解析すると、Dectin-1やDectin-2の発現は認められなかったが、Mincleを高発現していることが明らかになった。更に、リンパ節におけるAGF発現細胞の局在を免疫組織染色により解析すると、AGFの強い発現がリンパ節の辺縁部において、AGFの弱い発現がリンパ節の辺縁部及び髄質において認められた。比較的弱くAGFを発現する細胞において、樹状細胞マーカーであるCD11cを共発現する傾向が認められた。 また、骨髄細胞を各種サイトカイン混合培地で培養することにより、Aire発現樹状細胞を誘導することが可能になった。更に、これらの細胞はMHC-2や共刺激分子、Mincleの高い発現を示した。実際に、OVAペプチドを特異的に認識するOT-2マウスのCD4+T細胞を用いた解析により、他細胞集団に比べAGF+BMDCはCD4+T細胞の増殖を強力に誘導することを明らかにした。 一方、AGF+樹状細胞は、内在性AIREを欠損し自己免疫疾患を発症するAGFKI/KI個体においても、リンパ節や骨髄由来DCにおける割合に大きな変化はなく、MHC2などの発現にも大きな違いは認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
カンジダ感染時におけるAIRE発現樹状細胞の機能を評価し、AIRE欠損による影響を明らかにする。 AIRE+DCがThサブセットの分化誘導に寄与するか調べるため、AIRE+DCとCD4+T細胞をカンジダ由来抗原存在下で共培養を行い、増殖したCD4+T細胞の発現するサイトカインにより評価を行う。 また、これまでに研究により、リンパ節や骨髄細胞由来AIRE+DCは、内在性AIREを欠損するAGFKI/KIマウスにおいても存在し、MHC-2や共刺激分子、Mincleの高い発現を示すことが明らかになっている。そこで、内在性AIREを欠損するAGFKI/KIマウスのAGF+DCにおいて、上記の機能に変化が生じるか明らかにする。本解析を通して、AIREに変異を持つ患者で発症するカンジダ症の原因が、AGF+DCによるものか検証を行う。 加えて、AGF+/KIと内在性AIREを欠損するAGFKI/KIマウスのAGF+DCに生じる変化を、RNAシーケンス法による網羅的な解析により明らかにし、DCにおいてAIREが発現する意義やカンジダ感染との関係性を明らかにする。
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