研究課題
本研究は、TRIM21の発現と抗TRIM21抗体との関連、抗TRIM21抗体をもつSLE患者の臨床的特徴を明らかにすることで、SLEの新規治療標的としてのTRIM21の可能性とB細胞機能異常のバイオマーカーとしての抗TRIM21抗体の有用性を検討することを目的とした。そこで、本研究では、SLE患者における抗TRIM21抗体とTRIM21機能、B細胞の関連を検討するために、未治療のSLE患者の血清および末梢血単核球(PBMC)を用いて、サイトカインおよび免疫グロブリン産生やTRIM21の蛋白発現量を評価した。抗TRIM21抗体陽性SLE患者では、健常者や抗TRIM21抗体陰性SLE患者と比較して、血清中のインターフェロン-β、IgG1、IgAの濃度が有意に高く、抗TRIM21抗体陽性SLE患者の特徴として、Ⅰ型インターフェロンの産生亢進やB細胞機能の活性化がより高度であることが示唆された。TRIM21が抗SS-A抗体の対応抗原であることから、抗TRIM21抗体陰性SLE患者と比較し、抗TRIM21抗体陽性SLE患者において、抗TRIM21抗体以外に抗SS-A抗体も有意に陽性率が高く、抗TRIM21抗体価と抗SS-A抗体価は有意に正の相関を示した。ただし、本研究において見出された、抗TRIM21抗体価とインターフェロンβやIgG1産生亢進の相関性は、抗SS-A抗体価とは有意に相関せず、抗SS-A抗体ではなく、抗TRIM21抗体を評価することの重要性が示された。また、抗TRIM21抗体陽性SLE患者由来PBMCにおけるTRIM21の蛋白発現量は抗TRIM21抗体陰性SLE患者と比較し、有意に低下しており、抗TRIM21抗体とTRIM21発現レベル低下の関連が示唆され、このことがTRIM21機能低下に寄与している可能性が示唆された。
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