研究課題
コレラ毒素(Cholera toxin:CT)は免疫アジュバントとして、T細胞の活性化や炎症性サイトカインの産生などを誘導することが知られている。しかし、その分子機序は不明な部分が多い。我々は、CTの構成因子の一つであるBサブユニット(CTB)がマウス腹腔マクロファージに作用し、リポ多糖(Lipopolysaccharide : LPS)と協調して炎症性サイトカインIL-1βの産生を誘導することを見出した。また、この誘導機構を解析する過程で、CTBが小胞体ストレス応答を誘導するという知見も得た。本研究では、CTBによる免疫アジュバント作用に、小胞体ストレス応答がどのように関与するのかを明らかにする。令和元年度では、CTBによる小胞体ストレス応答にCTBの細胞内侵入が必要かどうかを検討し、CTBが細胞膜上の糖脂質ガングリオシドGM1との結合を介して細胞内に侵入後、小胞体ストレスセンサーIRE1αを活性化することを見出した。そこで令和二年度では、IRE1αに焦点を当て、CTBとの相互作用について検討した。まず、腹腔マクロファージにおいて解析したところ、小胞体内においてCTBとIRE1αの共局在が認められた。次に直接結合するかどうか、免疫沈降法により検討したが、通常の条件では共同沈降は検出されなかった。そこで、腹腔マクロファージばかりでなく、薬剤(ドキシサイクリン)誘導IRE1α発現細胞株を用いて、可溶化、架橋剤など様々な条件を設定しながら、IRE1αに加えて、IRE1αと会合するシャペロン分子Bip、IRE1α以外のストレスセンサーPERKなどとの相互作用についても解析を進めている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
British Journal of Cancer
巻: 122 ページ: 1185~1193
10.1038/s41416-020-0757-2