研究課題/領域番号 |
19K23851
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
平形 寿彬 順天堂大学, 医学部, 助教 (20843155)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | アレルギー性結膜炎 / ロイコトリエンB4 / BLT1 / 脂質メディエーター / 好酸球 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アレルギー性結膜炎におけるLTB4受容体(BLT1、BLT2)の役割を明らかにし、アレルギー性結膜炎の新規治療法を開発することである。野生型 マウスとBLT1遺伝子欠損マウスに対し、ブタクサ花粉誘発アレルギー性結膜炎マウスモデルを作成し、両群間の比較検討を行なった。アレルギー性結膜炎の重症度を示すクリニカルスコアと痒みを表す引っ掻き行動は、BLT1遺伝子欠損マウスで野生型マウスと比較し有意に抑制された。BLT2遺伝子欠損マウスを用いた実験ではBLT1遺伝子欠損マウスを用いた実験と比較し、野生型マウスとの差が小さく、BLT1がアレルギー性結膜炎においてより重要な働きを担っている可能性が示唆された。 血清IgE値はBLT1遺伝子欠損マウスで低い結果となり、結膜組織中のTh2サイトカインの発現量もBTL1遺伝子欠損マウスで低い結果となり、再現性を確認することができた。結膜への好酸球浸潤もBLT1遺伝子欠損マウスで抑制されることを再確認した。次に、質量分析を用いて結膜組織中の炎症性脂質メディエーターの網羅的な定量解析を行った。アレルギーにおいて炎症を促す働きを持つプロスタグランジン類は野生型マウスとBLT1遺伝子欠損マウスで差がなかった。 以上より、アレルギー性結膜炎においてLTB4受容体であるBLT1は重要な役割を担っていることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LTB4受容体のアレルギー性結膜炎への関与の検証を行い、BLT1遺伝子欠損マウスを用いて実験を行なった。アレルギー性結膜炎症状の重症度、Th2型免疫応答、 好酸球の結膜への浸潤を評価し、再現性を確認することができた。新たに計画していた質量分析を用いた結膜組織中の炎症性脂質メディエーターの定量も行うことができ、実験計画に沿った進行を行うことができた。そして、BLT1のアレルギー性結膜炎への関与が強く示唆される結果を得ることができた。しかし、実験に使用するBLT1 antagonistを検索することには成功したが、実際にマウスモデルを用いた実験はまだ行えていないため、概ね順調の進展の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、LTB4受容体がアレルギー性結膜炎の治療標的となり得るか検証を行う。具体的には、ブタクサ花粉によるアレルギー性結膜炎を誘発した野生型マウスに 対し、BLT1受容体拮抗薬、ロイコトリエンB4 産生阻害薬をそれぞれ投与し、アレルギー性結膜炎の症状や病態の抑制効果を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの蔓延のため、学会への参加の機会が減ってしまったこと。コロナウィルスの影響により実験を計画通りに進めることが困難であったため。
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