研究課題
B型肝炎ウイルス(HBV)は感染受容体である胆汁酸トランスポーター(NTCP)に吸着した後、細胞内へ侵入すると知られるが、その細胞内侵入(内在化)のメカニズムは未だ多くが解明されていない。本研究ではNTCPが媒介するHBV内在化機構の解明を目的とした。これまでに当研究室ではNTCPが多量体を形成することや、上皮成長因子受容体(EGFR)とNTCPの相互作用がHBV内在化に重要であることを報告してきた。そこで、そのHBV内在化に関わる2つの機構の関連性について解析した。EGFR-NTCP相互作用を化合物処理やNTCPへの変異導入により阻害すると、NTCP多量体の形成が抑制された。一方で阻害剤処理や変異導入によるNTCP多量体形成の阻害は、EGFR-NTCP相互作用への影響を示さなかった。これらの結果から、HBV内在化機構においてNTCP多量体化はEGFR-NTCP相互作用の下流に位置することが明らかとなり、本成果を学術論文として報告した(Fukano K et al. J Virol. 95(24): e0093821. 2021)。またNTCPが多量体化する生物学的意義についても、多量体化阻害剤やNTCP変異体を用いて解析した。本研究成果は、HBV感染機構の一端を明らかにすると同時に、HBV侵入機構を標的とする創薬にも有用な知見を提供する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件)
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