大腸癌培養細胞株であるCaco-2細胞を用い、増殖期のCaco-2に対しエレクトロポレーション法にてsiRNAのトランスフェクションを行いそのプロトコルの最適化のための条件決定をした。qPCRによる遺伝子発現解析でDR3の遺伝子発現が5%程度まで抑制されることを確認した。 96ウェルプレート内にCaco-2をsingle cellとしプレーティングし、Recombinant TL1Aを負荷することで、血清入り通常培地下でのCaco-2細胞の増殖が亢進し、腸管上皮細胞においてTL1Aが細胞増殖などの機能に関与していることが示唆された。control、rTL1A負荷群でMTTアッセイを施行しviabilityを検討したところ、rTL1A負荷群で亢進しており、細胞増殖の亢進を反映していると考えられた。一方LDHアッセイで細胞の障害性を検討したところcontrol、rTL1A負荷群で差を認めず、TL1Aは腸管上皮細胞の細胞死とは関連していないものと考えられた。 Caco-2細胞にempty配列、siDR3をそれぞれエレクトロポレーション法でトランスフェクションを行い、rTL1Aを負荷しcontrol、TL1A負荷、siDR3、siDR3+TL1A負荷の4群に対しRNA sequenceを施行(2回独立して施行)し遺伝子発現の変化を検討したところ、rTL1Aを負荷することでペルオキシソーム形成に関わる遺伝子発現などの変化を認めた。これらの遺伝子を解析することでTL1Aが腸管上皮細胞に与える影響を推測することができ、今後in vivoでの役割についても検討を行う必要があると考えている。
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