研究実績の概要 |
ヒト食道扁平上皮癌(ESCC)細胞株10種におけるCD63発現の評価を行い、TE2, TE15を高発現株として同定した。siRNAによるCD63のknockdownを行い、proliferation assayにより増殖能の低下を確認した。migration assay, invasion assayに関しては、再現性・信頼性が不十分であり、継続して解析を要する。また、遺伝子発現の変化をmicroarrayおよびgene set enrichment analysis(GSEA)を用いて評価し、ERBB経路を解析のターゲット候補として抽出した。ESCCにおけるERBB2(HER2)発現の評価のため、ESCC切除標本の免疫染色(HER2 n=127, CD63 n=86)を施行し、臨床病理学的因子(年齢・性・腫瘍のステージ・脈管侵襲・分化度・生存期間)に関して検討した。CD63に関しては高発現群において予後不良である結果を得て、CD63, HER2の関連および統合解析に関して今後すすめていく予定である。今後のHER2検討に際しての研究基盤として、患者組織由来腫瘍マウスモデル(patient derived xenograft:PDX)の作成・解析に係る倫理審査を受け、HER2陽性消化管癌のPDXモデルの作成を開始した。CD63とエクソソームの関連に関しても継続して解析を行なっており、腫瘍由来エクソソームの癌細胞自体におよぼす変化をGSEAで評価し、増殖能の低下、遊走能の上昇、細胞周期の抑制という表現型に矛盾ない結果を得た。この結果は英文誌に投稿中である。
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