現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の様に、当初はETBFの少量投与および共感染によりAhR KOマウスを死亡させずにETBFを感染させる実験系を確立する予定だったが、少量投与ではETBFの定着は難しく、また共感染の投与対象となる野生型マウスへの定着もまれであるという結果となった。しかしながら、ETBFの大量投与によってもAhR KOマウスが必ずしも短期間で死亡するわけではないことが明らかとなったため、ETBFの直接大量投与法を用いて研究を進めることとし、AhR KOマウスに安定してETBFを感染させる実験系を確立することができた。 現在は、(1) 10^8個程度のETBFを2週間に1回投与、(2)10^9個程度のETBFを6週間に1回投与、(3)10^9程度のETBFを2週間に1回投与、の3段階の菌数・頻度での投与の実験系による解析を進めている。(1), (2), (3)ともAhR KOマウスへのETBFの感染が確認されたが、(1)では限定的であり、また(3)と比較して(2)では投与のインターバルでの菌量の低下が大きかった。(1)について投与後20週の時点で腸管を採取し、解析したところ、4匹のAhR KOマウスの回盲部に肉眼的に明らかな病変は認めなかったが、組織学的には4匹中2匹で好中球浸潤を認めた。ETBFの投与により回盲部において炎症反応が促進されていることを示唆する結果と考えられるが、腫瘍発生という意味では(1)の実験系での投与の効果は限定的であるため、今後はより大量・高頻度の投与である(2)・(3)の実験系を用いて解析を進める予定である。 以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに、当初予定していたETBFの少量投与および共感染の実験系が成立しないことがわかったため、直接大量投与に方法を変更しているが、この経過では実験系の成立・不成立を示すデータは明瞭であり、条件検討に際して用いたマウスの数が最小限に抑えられたことが一因と考えられる。また、上記の解析の過程で必要な試薬・消耗品が予定よりも安価に購入することができたことも挙げられる。 今後は、実際に病変の発生が促進された場合に、その解析に必要な試薬・機材などを購入し、また腸内細菌叢の解析やエクソーム解析などの網羅的な解析を行うことも視野にいれて研究を進める予定である。
使用計画 試薬類 400,000円、プラスチック器具等 100,000円、動物飼育費 400,000円、論文投稿・掲載費用 100, 000円、共通機器使用料 100,000円、エクソーム解析費用 600,000円、腸内細菌叢の解析の費用 500,000円 合計 2,200,000円
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