【目的】多発的な病変を形成する再発卵巣癌では、抗癌剤によって縮小する病変と増大する病変とがしばしば混在し、これは微小環境の違いによって腫瘍にデリバリーされる酸素量と抗癌剤量に偏りが生じると、かえって癌の増殖を促進させてしまうという仮説に基づき検証を行った。 【成績】NOS3は、IC50量の1/10~1/100量のCDDPを投与することで細胞増殖が有意に亢進した。この濃度帯の細胞増殖亢進は20%酸素培養に比して1%酸素培養で顕著だった。メタボローム解析では、抗癌剤からの保護作用を持つとされる還元型グルタチオン及びグルタチオン総量が、IC501/100量の細胞で増加していた。
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