研究課題/領域番号 |
19K23889
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高倉 有二 広島大学, 病院(医), 助教 (20581698)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 直腸癌 / 化学放射線治療 / メトホルミン |
研究実績の概要 |
直腸癌の化学放射線治療に対する治療抵抗性への上皮間葉移行(EMT)及び癌幹細胞の関与を明らかにするとともに,メトホルミンによるEMT阻害効果を確認するべく本年度は以下の実験を計画した.1)大腸癌細胞株でのスフェロイド作成,2)スフェロイド細胞への放射線照射によるEMTの誘導確認,3)抗癌剤を用いた細胞障害実験及びメトホルミン付加による細胞障害効果の確認, について実験を行った. まず,大腸癌細胞株のスフェロイド培養を樹立すべく,大腸癌細胞株の中でも文献的にCD44高発現であると報告されている結腸腺癌細胞株のLoVo及びLoVo及びDLD-1を用いてスフェロイド作成を行い,スフェロイド細胞塊を樹立することに成功した. 続いて,樹立したスフェロイド細胞と2Dコントロール細胞とを用いてフローサイトメトリーを用いて大腸癌幹細胞のマーカーとされているCD133及びCD44の発現の確認を行った.フローサイトメトリーの結果,スフェロイド細胞において,2Dコントロール細胞株と比較してCD133陽性かつCD44陽性の細胞比率が増加していることを確認した. 現在は,放射線照射によるEMT誘導を確認すべく,スフェロイド細胞に対して放射線照射を行いながら条件設定を確認し,EMT関連誘導蛋白の測定をWestern blot法を用いて行う予定である. また,MTT assayによる細胞障害実験を抗癌剤5-FUを用いて行った.並行して抗癌剤へのメトホルミン付与が細胞障害性に与える影響について検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人員不足及びCOVID-19対策による実験自粛の影響のため
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今後の研究の推進方策 |
放射線照射による大腸癌細胞株のEMT誘導モデルを確立し,抗癌剤及びメトホルミン付与による細胞障害性及びEMT関連マーカーの発現変化を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響で必要な細胞株の到着が遅延しており,必要な実験の進行が遅延した. 細胞株が届きしだい,現在の実験を再開し,遅延している,1)放射線照射によるEMTの誘導効果をまず確認したい.EMT関連蛋白の発現をWestern blot法を用いて確認し,EMT誘導が確認できた場合,抗癌剤による細胞障害実験,メトホルミンの付与実験を行い,メトホルミン付加によるEMT関連蛋白の発現レベルの変化を確認したい.
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