卵巣明細胞癌は本邦で発症頻度が高い疾患であるが、卵巣癌で最も高頻度に見られる高異型度漿液性癌と比較して卵巣癌治療の第一選択薬であるプラチナ製剤に抵抗性を示すことが多い。卵巣癌で使用可能となったPARP阻害剤による治療効果も限定的である可能性が示唆されている。 本研究では卵巣明細胞癌で特に有効と考えられる新規治療標的タンパク質の同定に成功し、有効な薬剤の組み合わせについても検証を行った。同定したタンパク質の一部については阻害剤が開発され、ヒトでの臨床試験が進行中のものも含まれている。本研究結果は組織型に応じた治療戦略が確立されていない卵巣癌において新たな個別化医療の可能性を示唆するものである。
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