研究課題/領域番号 |
19K23905
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 修一 東北大学, 大学病院, 特任助手 (30844451)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 肝内胆管癌 / 癌微小環境 |
研究実績の概要 |
胆管癌は豊富な間質成分を特徴とする癌で、間質と癌細胞により作り出される癌微小環境こそが、癌生物像を規定し、これまでの新規治療開発の障壁となっていると考えられている。PlGF (Placental Growth Factor)が癌細胞だけでなく、間質の主成分である癌関連線維芽細胞(CAFs: cancer-associated fibroblast)の活性化に重要な働きをしており、本研究では「抗PlGF療法によるCAFsの不活化が宿主の免疫応答を活性化させ、免疫チェックポイント阻害剤の併用(Immunocheckpoint blocker: ICB)による更なる抗腫瘍効果を示すかどうか」を明らかにすることである。 先行研究で遺伝子改変肝内胆管癌マウスモデル由来の細胞株(SS1及び425)でPlGFの発現や抗PlGF治療によるシグナルの変化を確認した。本研究ではヒト肝内胆管癌細胞株でPlGFを高発現し基礎実験によく使われているHuCCT1及びRBEを使うこととした。ウェスタンブロッティングやqPCRを使用し、それぞれの細胞株でPlGFの発現を確認し、controlとしての細胞増殖曲線を計測した。これによりin vitroでの予備実験が完了し、今後、抗PlGF療法による変化を検討していく予定である。 近年大腸癌に対して新規分子標的薬剤のAflibercept Betaが臨床導入された。この薬剤はこれまでの抗VEGF作用の薬剤に加え、さらに抗PlGF作用が加わった新規薬剤である。胆管癌はVEGF familyのうち、PlGFだけではなくVEGFの発現も認められており、この薬剤を使用し、抗PlGF/VEGF療法とICBの併用による腫瘍増殖能及びマウス生存率における有効性の検討も考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、本年度中にマウス実験まで行う予定であったが、細胞株の準備及びPlGFの発現が認められる細胞株の選定に時間がかかり、予定よりやや遅れている状況である。しかしながら、ようやく細胞株の選定が終了した。in vitroの実験においても条件設定が終わり、本試験に移るところである。今度スムーズに実験が進むことを期待している。
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今後の研究の推進方策 |
実験に使用する細胞株が決定したために、in vitroにおいて、抗PlGF治療による細胞増殖能の変化や浸潤能の変化を検討し、現象の違いを検討する。それと同時にマウス実験の準備へと移る。マウス実験では、免疫不全マウスであるNOGマウスとBL6マウスを購入し、肝内に細胞株を注入することで同所移植モデルマウスを作成する。すでに投与予定の薬剤は準備しており、このモデルが完成すれば、マウス実験に移行する。薬剤として、当初はanti-PlGF antibodyを考えていたが、近年大腸癌で導入された抗VEGF, PlGF作用を持つAflibercept Betaに使用も考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞株の準備及びPlGFの発現が認められる細胞株の選定に時間がかかり、未だin vitroの実験を行なっている段階で、in vivoの実験に移れていない。in vitroに使う試薬などを購入したのみである。マウス購入などを当初は予定していたが、未だ購入していない段階である。実験の進行次第で今後購入する予定である。
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