慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)及びその類縁疾患の細胞株からエクソソームが分泌されていることを確認した。エクソソームはEBV由来マイクロRNAであるmiR-BARTsを内包しており、miR-BART7-3pが最も高く発現していた。miR-BART7-3pはCAEBV患者の感染細胞及び血漿中でも高発現しており、CAEBVの発症及び病態形成に関与することを示唆すると共に、治療標的になり得ると考えられた。血管内皮細胞でmiR-BARTsを内包するエクソソームの取り込みが確認された。これはエクソソームに内包されたmiR-BARTsが血管内皮細胞に伝播され、周辺の非感染細胞において病態を形成する可能性を示した。 CAEBV等細胞株において、RNA分解作用を持つRNase1と、RNaseを阻害するRNase inhibitor (RI)の発現を確認した。RNase1及びRIはCAEBV患者細胞で高発現していたことから、CAEBVの病態において何らかの役割を担っているものと推測した。 CAEBV及びその類縁疾患において、miR-BART7-3pをはじめとするmiR-BARTsがエクソソームに内包され、血管内皮細胞等の周辺の非感染細胞に伝播されることを見出した。本研究成果はCAEBVの発症及び病態の解明に寄与すると共に、miR-BARTs等RNAに着目した全く新しい治療法、バイオマーカーの開発に貢献し得る。なお、2021年開催の第83回日本血液学会学術集会に"Plasma level of IL-1β in Chronic Active EBV Infection can be a biomarker of angiopathy"として演題登録し、論文作成中である。今後、miR-BARTsとRNase1のinteractionについてさらなる研究を行い、臨床への還元を目指す。
|