研究課題/領域番号 |
19K23908
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
赤星 径一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80749523)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
近年増加傾向にある非ウイルス性肝癌をB型肝炎やC型肝炎を背景としたウイルス性肝癌の臨床病理学的特徴と比較した。 非ウイルス性肝癌は糖尿病・肥満といったメタボリック症状群の罹患率が有為に高く、C型肝炎肝癌に比べて進行した病期で見つかることが多かった。ウイルス性肝癌はこまめにフォローアップなされていることが多いため比較的早期癌の状態で発見できたと考察された。 肝機能は非ウイルス性肝癌症例の方が良好であった。背景肝組織の病理組織所見ではC型肝炎が肝硬変を呈する症例が多いのと対照的に、非ウイルス性肝癌では正常肝や脂肪肝が多かった。背景肝組織の繊維化の程度の特徴に差があることは非ウイルス性肝癌の発がんメカニズムはB型肝炎やC型肝炎を背景としたウイルス性肝癌の発がんメカニズムと異なることを示唆していると考えられた。ステージ別の予後解析ではウイルス性肝癌と非ウイルス性肝癌のDFS, OSは同等であった。これは日本の全国調査の報告と矛盾しない結果であった。 糖尿病肥満に相関して発現上昇する遺伝子群を網羅的遺伝子解析を用いて分析したところ背景肝組織におけるCTGF(connective tissue growth factor)の発現上昇が有意であった。 CTGFは従来繊維化に関連する分泌タンパクと報告されていたが、繊維化のみならず免疫細胞を活性化して炎症反応を惹起するメカニズムに関与する可能性が示唆されており、肝発癌メカニズムに関与する分子の一つとして注目している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床データ解析は順調に進んでいる。 COVID流行の影響で、基礎実験は停滞している。
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今後の研究の推進方策 |
COVIDの影響で大規模な基礎実験の遂行は困難と想定されるため、臨床データ解析に重点をおく。 単一施設の臨床データで得られた結果を多施設研究でvalidationする提案を研究チームで行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年計画の研究のため、予定通りの研究費使用ペースで進んでいます。
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