肝細胞癌の発癌リスク因子が、近年急速に変化している。20年ほど前までは日本の肝細胞癌患者の90%以上がC型またはB型肝炎ウイルスを背景としていたが、肝炎治療の進歩に伴いウイルス性肝炎による肝細胞癌が減少し、近年は30%以上を非ウイルス性肝癌(NBNC肝癌)が占めるようになってきた。中でも、近年増加の一途を辿っている糖尿病・肥満などメタボリック症候群を背景とした非アルコール性脂肪肝疾患/脂肪肝炎(NAFLD/NASH)は、肝細胞癌の発癌リスク因子として注目が高まっている。 NBNC肝癌をウイルス性肝癌を比較すると進行がんで見つかることが多く、また背景肝が正常肝から発がんする割合が高いといえた。 また、2018年以降肝癌薬物療法の新規承認が続いており、肝癌薬物療法が新時代を迎えている。薬物療法後に手術治療を行う症例が増加しており、これらの症例の臨床データやゲノムデータ解析を進めている。
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