研究実績の概要 |
<目標1:テトラサイクリン誘導Cas9発現神経芽腫細胞株の樹立>神経芽腫細胞株にpCW-Cas9-Blastレンチウイルスベクターを導入する前に、このシステムが適切に機能するかを急性リンパ性白血病 (ALL) 細胞株 (REH細胞) にて検証を行った。ベクター導入後にシングルセルクローニングを行い、最適なクローンを選択することができたため、スクリーニングが機能するかをALLの治療に用いられる複数薬剤を用いて検証した。その結果、全ての薬剤スクリーニングにて適切と考えられる薬剤抵抗性もしくは感受性に関連する遺伝子及びパスウェイを同定することができ、本システムが適切に機能することを確認できている (Oshima K et al. Nature Cancer. 11, 1113-1127, 2020.)。 <目標2:神経芽腫細胞株に対するシスプラチン濃度と投与期間の最適化>神経芽腫治療で重要薬剤の1つであるシスプラチンの投与開始7日後の細胞生存率が20%となる薬剤濃度を決定するのが本目標であるが、ALL細胞株にて複数の至適薬剤濃度の決定は容易に行えることを確認することができたため、同様な計画で神経芽腫細胞株における至適なシスプラチン濃度を決定する過程である。 <目標3:CRISPRスクリーニングを用いた治療不応性神経芽腫のメカニズムおよび創薬ターゲットの同定>細胞株の薬剤治療、DNAシーケンス、シーケンスデータ解析、in vitroおよびin vivo実験によるスクリーニングの結果の検証という一連のプラットフォームの確立が重要かつ必須であるが、ALL細胞株を用いたスクリーニングにてプラットフォーム確立を確認することができたため(Oshima K et al. Nature Cancer. 11, 1113-1127, 2020.)、神経芽腫細胞株を用いたスクリーニングの準備も完了した。
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