神経芽腫細胞ではないが、まずはALL細胞株を用いたCRISPRスクリーニングで見出したATR分子の阻害がALLおよび神経芽腫においてどのような役割を果たすのか検証した。 1) 細胞株に対するATR阻害剤とマホスファミド(MAF)の併用治療における治療効果を分子学的に評価するために、RCH細胞をMAF単独、VE821 (ATR阻害剤)単独、またはMAF + VE821の3通りの方法で治療し、ウェスタンブロッティングで評価したところ、ATRを阻害することによってMAFによるATRのリン酸化が阻害され、γH2AXの蓄積が示すようにDNA損傷が増加し、その結果、治療に対する反応が増強されることが判明した。 2) RCH細胞に対するATR阻害剤によるMAFのDNA損傷効果の増強が、殺細胞効果に繋がるかどうかを検証するために、2種類の細胞株(REHおよびRCH細胞)と2種類のATR阻害剤(VE821とAZD6738)を用いてin vitro細胞生存アッセイを行った。両方の細胞株の実験において、2種類友のATR阻害剤がMAFの殺細胞効果を増強することを確認することができた。
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