慢性肝不全急性増悪(ACLF)は、非アポトーシス型の肝細胞死が主な特徴である。ネクロプトーシスは、プログラムされた細胞死の一形態であり、RIPK1、RIPK3、pMLKLが主要な構成要素である。健康なボランティア、肝硬変患者、および急性非代償イベント(AD)で入院した患者において、RIPK3血漿レベルおよびRIPK1、RIPK3、pMLKLの肝発現量を測定した。ACLFにおけるネクロプトーシスの役割は、RIPK1の阻害剤、ネクロスタチン-1(NEC-1)およびSML2100(RIPA56)を用いてACLFの2つの動物モデルで検討した。血漿RIPK3レベルは、28日および90日死亡の予測に有用であり、さらに入院後にACLFへの移行の予測にも有用であった。この傾向は、胆管結紮ラットにリポポリサッカライド(LPS)を投与してACLFを誘発したラットモデルや、ガラクトサミン(CCL4/GalN)を投与した四塩化炭素誘発線維化マウスで再現された。ACLFモデルラットでは、カスパーゼ8活性の抑制が認められ、カスパーゼ依存性の細胞死からネクロプトーシスへの移行が示唆された。NEC-1をLPS投与前に投与すると、肝、腎、脳障害が軽減され、肝および腎の細胞死が減少することにより、ACLFの重症度が有意に低下した。また、CCL4/GalNで発症したACLFのマウスモデルにおいても、RIPA56で同様の肝保護作用が確認された。これらのデータは、ヒトおよび齧歯類のACLFにおいてRIPK1を介した細胞死が重要であることを初めて明らかにした。RIPK1の阻害は、ACLFを発症していない患者からACLFへの進行を防ぐための新規治療アプローチとなる可能性がある。
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