研究実績の概要 |
我々はこれまでにガラクトース代謝に関わる酵素であるGALM欠損がガラクトース血症の原因となることを世界で初めて報告した。さらに、GALM遺伝子バリアントの機能解析を行い、GALM遺伝子の病的バリアントデータベースを作成した(Iwasawa S,Kikuchi A,Wada Y,Arai-Ichinoi N,Sakamoto O,Tamiya G,Kure S. Mol Genet Metab.2019;126(4):362-367.。この結果、GALM欠損症が高頻度に存在すると推定された。 新規にGALM欠損症と診断した症例の一部は、これまで門脈体循環シャントによるガラクトース血症と診断されていた。そこで、門脈体循環シャントなど二次的要因とされていたガラクトース血症に、GALM欠損症が潜在し、比較的多く存在しているのではないかと考えた。 これまでに先天代謝異常スクリーニングでガラクトース血症と診断され、それ原因精査のために腹部エコーを行い、門脈体循環シャントを指摘されている患者を対象に、これら患者のDNA検体を用いて、GALM遺伝子のダイレクトシークエンスを行い、病的バリアントを両アレルで認める場合はGALM欠損症と診断とすることとした。また、新規バリアントであった場合は、その酵素活性を測定することにより機能解析を行い、病的バリアントであるか判断することにした。 東北大学病院のほか、宮城県立こども病院と協力を行い、ガラクトース血症から門脈体循環シャントと診断をうけた、患者からDNA検体の提供をうけ、解析に取り組んでいる。
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