研究課題/領域番号 |
19K23957
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
保坂 孝史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00847890)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / RNA編集 / ADAR2 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の根本的な治療法の開発には、診断および治療モニタリングを可能にするバイオマーカーの存在が求められる。我々はこれまでの研究 で、ALSの9割を占める孤発性ALSでは、RNA編集酵素であるADAR2の発現量低下により、Q/R部位未編集型GluA2が発現し、そのGluA2をサブユニットに持つCa2+透過 性AMPA受容体を介した細胞内への異常なCa2+流入が発端となり運動ニューロン死が起こることを発見した。そして、in vitroで細胞外RNAのADAR2依存性編集部位 の編集率が、細胞内のADAR2の発現量を反映することも発見した。そこで、本研究では、体液中に存在する細胞外RNAのADAR2依存性編集部位の編集率を測定し、 ALSの診断および治療モニタリングのバイオマーカーの開発につなげることを目的としている。まず、髄液中の細胞外RNAの抽出法をTrizol法とカラム抽出法で比 較し、Trizolを用いてtotal RNAを抽出する方がより多くのRNA量を回収でき、その量は髄液1ml中には900pg程度であることを見出した。現在、逆転写反応を行 い、抽出したtotal RNAを鋳型とするcDNAを作製し、それをテンプレートとしてPolymerase Chain Reaction (PCR)反応を行い、既に同定している運動ニューロン に発現しADAR2依存性編集部位を持つmRNAの検出を行なっている。PCR条件やPCR酵素の検討により、一部のmRNAは同定できており、その中には非ALS患者(正常圧 水頭症)で編集率が高いものもある。今後、サンプル数を増やして非ALS群での編集率を測定し、編集率の高い編集部位については、ALS群との編集率の比較を行 なっていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RNA抽出法の比較によりRNA抽出法は確立できたが、髄液中のRNA量が少なくその中に含まれている候補編集部位を含むmRNAの検出に苦労している。
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今後の研究の推進方策 |
確立したRNA抽出法に基づき、髄液中のRNAを抽出し、非ALS群でのADAR2依存性編集部位の編集率を測定する。そして、編集率が高いADAR2依存性編集部位について、ALS群と比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学院時代の前年度に購入した物品を引き続き使用しており、物品購入が少なくすんだため。今後、ピペットチップの購入、PCR酵素の購入、DNAシークエンサー関連試薬の購入、Bioanalyzer関連試薬の購入、電気泳動装置の購入を予定している。
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