今回我々は、腎疾患領域における、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた新規治療法開発の可能性について検討してきた。当教室ではこれまで間葉系幹細胞(MSC)を用いた新規治療法の開発に注力してきた。しかし、MSCは採取できる量に限界があったり、均一的な性質や効果を示すとは限らず、また継代を重ねることで“細胞的老化”を示すとされてきた。今回の我々の研究では、iPS細胞からMSCを誘導することで、これまでのMSC治療の問題点を克服することにつながると考えられた。さらにiPS細胞は治療効果を高める工夫も追加しやすく、難治性腎疾患の新規治療法開発につながることが期待される。
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