研究課題
本研究は、申請者が取り組んできた患者由来肺癌細胞を樹立する技術と、近年神経科学の分野で発達した生体内イメージング技術を融合させ、分子標的治療の初期に癌細胞の一部が分子標的薬治療から逃避し生存する現象を可視化し、克服治療を開発することを目的とした学際的研究である。今年度はALK陽性肺癌における初期生存因子として同定したYAP1因子の機能解析を行った。機能解析には先に樹立した患者由来癌細胞を用いた。ALK陽性肺がん細胞にALK阻害剤アレクチニブを曝露すると、YAP1が活性化され、抗アポトーシスタンパクMCL1とBCLXLの発現を増加させることでアポトーシスを抑制し、ALK阻害剤治療から逃避することを示した。引き続き、初期生存を可視化し機能解析を行うことを目標とした、癌細胞の生体内イメージングの系を現在開発中である。
1: 当初の計画以上に進展している
YAP1の機能解析は当初の予想を超えて早く実験・解析が進み、文献化が行われていた。本研究のもう一つの要である生体イメージングの系も、現在単細胞レベルで経時的に経過を追うことができるようになっており、今年度中の投稿・文献化を目指す。
本研究のもう一つの要である生体イメージングの系に関しては、実験系のたちあげはほぼ完了したが、観察・解析が現在進行中である。今年度中の投稿・文献化を目指す。
昨年度同様、主として物品費として使用予定であるが、本年度は研究発表や研究のための装置利用に移動が必要であり、そのための交通費にあてる予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Nature Communications
巻: 11 ページ: 74
10.1038/s41467-019-13771-5