研究課題
(1) 2012年の久山町高齢者調査で頭部MRI検査を受けた65歳以上の男女1,286人の脳画像データを用いて、脳動脈瘤(定義:頭蓋内の3 mm以上の嚢状の未破裂脳動脈瘤もしくは脳動脈瘤クリッピング術後)の有病率を評価した。その結果、52人に合計54個の脳動脈瘤を認め、その有病率は4.0%であった。続いて同年に施行した循環器健診のデータを用いて脳動脈瘤を有する危険因子についてロジスティック回帰分析を用いて検討した。性別、年齢、高血圧、糖尿病、血清総コレステロール濃度、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、抗血栓薬を用いた多変量解析において、男性に対する女性のオッズ比は3.00(1.46-6.13)、非喫煙者に対する喫煙習慣を有する者の多変量調整後のオッズ比は2.52(1.04-6.14)と有意に高かったが、他の因子は脳動脈瘤の有意な危険因子ではなかった。(2) 2012年のMRI検査で脳動脈瘤を認めず2017年に再度MRI検査を受けた866人を対象として、脳動脈瘤(定義は(1)と同じ)の累積発症率を検討した。2017年のMRIにて8例で新たな脳動脈瘤発症を認め、5年間の累積発症率は0.92%であった。発症数が少ないため脳動脈瘤発症の危険因子の検討は困難であった。本研究の結果から日本人の地域一般高齢者における頭蓋内脳動脈瘤の有病率と危険因子が示された。この成果はわが国の高齢者における脳動脈瘤・くも膜下出血の予防対策の確立に寄与することが期待される。また本研究は地域一般住民において脳動脈瘤の発症を縦断的に検討した初めての研究である。その結果、地域一般高齢者において脳動脈瘤の5年間の新規発症率は約1%程度であった。
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