中枢神経におけるR-A系の過剰活性化が,認知症の発症・進展に関わる可能性がある.だが,R-A系は生体内の恒常性維持を担う重要な生理的調節系でもある.この恒常的生理機能維持を担うR-A系の生理的情報伝達系活性への遮断を回避し,同受容体系の病的な過剰活性化のみを選択的に抑制することが重要である.研究代表者らは,ATRAPが生理的なAT1受容体情報伝達系活性に影響を与えずに病的な過剰活性化のみを選択的に阻害するという機能上の大きな利点をもつ可能性を報告してきた.本研究はATRAPの認知症改善機能に着目し,その機能上の独自性から従来のR-A系阻害とは異なる観点の重要な成果が得られる可能性が高い.
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