研究実績の概要 |
本研究の目的は、音響分析と脳MRIを用いた脳白質・灰白質の定量解析を組み合わせることで、神経変性疾患における発話障害のメカニズムの解明、発話評価に役立つ客観的指標の確立、臨床応用を目指すことである。 令和3年度、パーキンソン病、大脳皮質基底核変性症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患患者、健常者において、発話サンプル・脳MRI・臨床データの取得を行った。発話サンプルは、4種類の発話(①/a/の持続発声②/pa/,/ta/,/ka/の反復発話③“この畳の部屋は弟と友達とで建てた物です”の復唱音読④与えたトピックに対する自由発話90秒)とした。MRIは、3テスラMRI装置を用い、3DT1強調画像と2-shell diffusion画像の撮像を行った。臨床データは、重症度分類のスコア(MDS-UPDRS, PSPRS, UMSARS, ALSFRS)、認知機能スクリーニング(ACE-R, MOCA-J)、前頭葉機能評価(FAB, TMT)を取得した。 令和4年度、引き続きデータ収集を継続し、発話サンプルと構造的脳MRIデータの解析を行っていく。フリーソフトウェアであるPraatを用いて発話サンプルを処理し、発話の特徴量を算出する。また構造的脳MRIを用いて、FreeSurferによる灰白質・白質の体積測定やFSL、MRtrixによる拡散テンソルイメージング解析を行う。さらに発話サンプルから得られる指標や臨床的指標と、構造的脳MRI解析結果の関連について統計学的検討を行う。
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